水素水研究に関する特許分析

水素水研究に関する特許分析

現在、水素水は美白、疾患治療、飲用など幅広い分野で応用されています。特許は技術情報の最も効果的な媒体であり、最新の技術情報の90％以上を包含しています。したがって、水素水に関連する特許を分析することで、現在の研究動向や主要な研究開発主体、ホットトピックを把握することが可能です。

1.1 特許出願分析

中国国家知识产权局（CNIPA）の中国特許データベースに基づき、「水素豊富な水」をキーワードとして、過去20年間に公開された中国特許（締切日：2020年3月11日）を検索した結果、デザイン特許を除いて721件の関連特許がヒットしました。過去20年間における中国特許出願の統計的傾向（図1）から、2005年から2010年にかけて出願数は少なく、関連技術が新興段階にあったことを示しています。2010年から2013年にかけては出願数が着実に増加しており、技術が安定発展段階に入ったことを示唆しています。2014年以降では出願数が急激に増加し、研究および応用が高成長段階に入ったことを意味しています。2018年以降の顕著な減少は、特許公報の発行遅延によるものと考えられます。国内で最初に水素豊富な水の技術に関する特許を出願したのは2005年の林健二と大脇智史で、水素豊富な水の製造方法および発生装置に関するものでした。検索された特許の中で発明特許は296件（サンプルの41%）を占めています。

1.2 特許技術分析

特許出願およびその技術的内容の分析により、水素水技術に関する開発動向および研究のホットスポットが明らかになります。多くの特許はその製造方法に焦点を当てています。初期の特許では、焼結マグネシウム粒を使用し、飲用または皮膚への塗布によってシミやしわの改善効果があるとされる水素水を生成する方法が検討されました。その後の方法では物理的手法が用いられ、まず水から大量の酸素その他のガスを取り除き、水素を注入して飲料用の水素水を製造する方法が食品・飲料業界で利用されるようになりました。さらにその後、水の電気分解装置が開発され、日常的に使用するための利便性が向上しました。その後、水素生成棒と呼ばれる製品が登場し、通常の飲用可能な水を簡単に効果的に水素水に変えることが可能になりました。製造技術が成熟するにつれ、水素水生成器や水素水用マグカップなどが登場しました。

これらの特許でカバーされている応用は主に疾患治療、化粧品および医療分野に焦点を当てています。これらの分野での受け入れが広がるにつれ、研究の重点は水素濃度の高い水の品質と安全性の向上、応用範囲の拡大、生産コストの削減に向けてシフトしてきています。例として、西安交通大学が安価で持続可能な水素濃度の高い水の製造方法を公開したことが挙げられます。また、第二軍医大学は動物実験を通じて水素濃度の高い水が実験的自己免疫性脳脊髄炎の予防治療として有効であることを検証しました。さらに、上海農業科学院は水素濃度の高い水を使用してヒラタケ（ぶなしめじ）の保存期間を延長し、品質を向上させる方法を発見しています。